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長崎家庭裁判所佐世保支部 昭和44年(家)338号 審判 1969年7月11日

申立人 松原健治(仮名)

相手方 浦川初子(仮名)

相手方の特別代理人 浦川実(仮名)

事件本人 松原健一(仮名) 昭四〇・一〇・一生

外一名

主文

事件本人両名の親権者を相手方から申立人に変更する。

理由

本件につき、当事者の各戸籍謄本、医師中山森太作成の診断書及び同人よりの照会回答書の各記載並びに申立人の審問の結果及び浦川実に対する福岡家庭裁判所小倉支部家庭裁判所調査官の調査結果を総合すると次の事実を認めることができる。

即ち、(1)申立人と相手方とは昭和四四年二月一四日事件本人等の親権者を相手方と定めて協議離婚し、以後事件本人等は相手方の許で養育されていたが、相手方は精神分裂病を患つて同年四月二三日○○○○病院に入院し事件本人等を養育することが不可能となつたため、相手方の兄浦川実と申立人とが話合つた上、同年五月五日申立人において事件本人等を引取り監護養育することとなつたこと。(2)相手方は前記のとおり入院加療中であり、治療の結果漸次快方には向つているものの未だ意思能力が完全ではなく、なお相当時日の入院治療を要する者であつて、事件本人等を監護養育することは勿論のこと、親権者としての任務を行なうことも当分の間は不可能と考えざるを得ないこと。(3)申立人は事件本人健一は保育所に通わせながら生活を共にしているが、事件本人健二は生後六ヶ月程度の乳児であるところから、これを乳児院に託しており、これらの諸手続につき申立人が親権者としての資格を得る必要にせまられていて本件申立に及んだこと。

以上の認定した事実に基づいて考察するに申立人の本件申立は相当の理由があり、事件本人等の親権者を相手方から申立人に変更することは同人等の利益のため必要があるというべきである。

よつて主文のとおり審判する。

(家事審判官 大久保敏雄)

参考 長崎家佐世保支 昭四四(家)三三八、三三九号 昭四四・七・一一決定

決  定

申立人 松原健治

相手方 浦川初子

事件本人 松原健一

同 松原健二

右当事者間の親権者変更審判事件について、当裁判所は職権により次のとおり決定する。

主文

住所 北九州市○○区○○公団○○-○○○

浦川実

を相手方浦川初子の特別代理人に選任する。

理由

本件相手方は精神分裂病により入院加療中であつて無能力状態にあると認められるが、子の福祉を目的とする本件親権者変更の審判手続は緊急を要するものであるから、審判手続処理のため必要があるものと認め、民事訴訟法第五六条を適用して主文のとおり決定する。

(家事審判官 大久保敏雄)

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